従業員に監視を伝えるとき、多くの会社がつまずくのは「何を書けばいいか分からない」ことではなく、「抽象的すぎて、あとから説明できない文面」になってしまうことです。「業務管理のため、必要に応じて端末を監視することがあります」——この一文だけでは、何を見ているのか、誰が見られるのか、いつ消えるのかが分かりません。
このページでは、そのままコピーして使える通知文の雛形と、自社用に書き換えるときのチェックポイントをまとめます。法的な効力を持つ文書ではありませんので、就業規則や社内規程との整合は専門家にご確認ください。
通知文に入れるべき七つの要素
文面の長さより、次の七つが漏れなく入っているかの方が重要です。
- 目的:何のために記録するのか(勤怠の確認、情報漏えいの防止、業務改善など)。一つに絞れるなら絞ります。
- 対象となる端末:会社支給のPC、特定の部署、特定の台数など。
- 記録する項目:起動・終了時刻、アプリの利用、スクリーンショットの有無などを具体的に。
- 記録しない項目:「私的なメールは対象外」など、あえて書くことで納得度が上がります。
- 閲覧できる人:管理者、人事、情報システムなど、役割で示します。
- 保存期間:何か月保持し、その後どうするか。
- 問い合わせ先:質問や異議をどこに出すか。

そのまま使える雛形
以下を社内文書としてコピーし、太字の括弧の部分だけ自社の内容に置き換えてください。
従業員の端末利用に関する通知
各位
当社は、業務の適正な運営および情報資産の保護のため、下記のとおり会社が支給する端末の利用状況を記録します。本通知は、記録の開始前に全従業員に対して行うものです。
1. 目的
【勤怠の確認、情報漏えいの防止、業務プロセスの改善】のため。
2. 対象
会社が支給する【Windows/macOS】端末(【対象部署・台数】)。
3. 記録する情報
端末の起動・終了時刻、業務アプリケーションの利用状況、【スクリーンショットの取得有無】、【ファイル操作の記録有無】。
4. 記録しない情報
私的な電子メールの内容、私的なクラウドサービスの利用内容、入力された文字そのもの(文字数の集計のみを行う場合があります)。
5. 閲覧できる者
【情報システム部の管理者】および【人事部の責任者】に限定し、閲覧の都度、記録を残します。
6. 保存期間
取得から【3か月】を経過した記録は削除します。
7. 従業員の確認
従業員は、自身に関する記録の開示を【情報システム部】に請求できます。
8. 問い合わせ先
【部署名・担当者名・連絡先】
本通知に同意しない場合でも、それのみを理由として不利益な取扱いを行うことはありません。ただし、端末の利用に関する社内規程は別途適用されます。
【会社名】
【制定日】
書き換えるときのチェックポイント
- 「必要に応じて」を使わない:この言葉は範囲を無限に広げます。記録する項目は列挙してください。
- 記録しない項目を必ず書く:従業員が最初に気にするのはここです。私的な領域を明示的に外すと、文面全体の信頼度が上がります。
- 閲覧者を役割で書く:「管理者」だけでは広すぎます。部署と職位まで落とし込みます。
- 保存期間と削除をセットで書く:「3か月保存」だけでは足りません。「3か月を経過したら削除する」まで書きます。
- 就業規則と文面を一致させる:通知文と就業規則で記録項目が食い違うと、その時点で説明が崩れます。
配布のしかた
文面を配るだけでは不十分で、質問を受ける場があるかどうかで定着率が変わります。実務では次の順序が現実的です。
- 就業規則または社内規程を先に整備する
- 全部署に同一文面を配布する(メール一通で済ませない)
- 部署単位の説明会を設け、質問をその場で受ける
- 確認書または同意書を回収する(拒否しても不利益がないことを明記)
- 記録の開始後、自分の記録を確認できる画面を従業員に開放する
よくある質問
通知文と同意書は同じものですか
別のものです。通知文は「何をするか」を伝える文書、同意書は「それを理解した」ことを確認する文書です。通知だけ配って同意書がない、あるいは同意書だけあって通知がない、という状態はどちらも弱い運用です。
メール一通で通知するのは問題ですか
記録の存在は伝わりますが、理解まで届きにくいのが実情です。説明の場を設けた方が、後日の「聞いていない」を避けられます。
就業規則を変更せずに通知だけ出すのは可能ですか
就業規則に監視に関する定めがない場合、通知文だけで運用を始めると、規程との不整合が生じます。先に規程を整えることをお勧めします。
記録の範囲を絞って始める
iMonitor は、通知文に書いた項目だけを有効にできます。取得項目、保存期間、閲覧権限は管理画面から個別に設定でき、記録しない項目は最初からオフにしておけます。
本稿は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。就業規則の変更や個人情報の取扱いについては、必ず専門家にご相談ください。最終更新:2026年10月23日。